2024年6月7日衆議院で可決され参議院に送付されていた建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律が可決され、成立しました(令和6年法律第49号)。2024年12月13日、施行となりました。


参考:建設業法・入契法改正(令和6年法律第49号)について|国土交通省

契約書に明記すべき事項など、建設会社は必ず知って対応しなければならない事項があり、違反があると中小企業庁から是正のための処分の対象となるなど、注意が必要です。

本記事では2024年の建設業法の改正について解説します。

建築業法改正の趣旨・目的

2024年の建設業法改正の趣旨・目的はどのようなものでしょうか。
建設業では昨今次の2点が課題となっています。
就労条件などを背景に就業者の減少が続いており、
急激な資材価格の高騰を受けて現場技能者の賃金の原資となる労務費等がしわ寄せを受ける
これらの問題に対応するため、次の3つを柱とする法改正が行われました。

1.働き方改革と生産性の向上
2.処遇改善
3.資材高騰による労務費へのしわ寄せ防止

以上の3つの視点から様々な法改正が行われています。

建築業法改正のポイント

契約書の法定記載事項の追加

契約書の法定記載事項に、「請負代金を変更する際の金額の算定方法を定めること価格等の変動又は変更に基づく工事内容の変更又は請負代金の額の変更及びその額の算定方法」が追加されました(改正建設業法19条1項8号)。
建設業法19条1項は、建設工事の請負当事者に請負契約書の作成を義務付けています。また、請負契約書に必ず記載しなければならない事項(法定記載事項)が挙げられており、その法定記載事項として、価格等の変動又は変更に基づく工事内容の変更又は請負代金の額の変更及びその額の算定方法が新たに規定されました。
この規定は2024年(令和6年)12月13日に施行されており、対応していない場合には直ちに対応する必要があります。
これは上述の3本の柱のうち2,資材高騰による労務費へのしわ寄せ防止の具体的措置となります。

価格転嫁協議の円滑化に関する通知ルール

価格転嫁協議の円滑化に関する通知についてのルールが創設されました。
主要な資材の供給の著しい減少や資材の価格の高騰など、工期または請負代金の額に影響を及ぼす事象が発生するおそれがある場合、注文者に対して建設業者は請負契約締結までに、その旨と状況把握に必要な情報を通知しなければならない、という義務が設けられました。(改正建設業法第20条の2第2項)。
昨今、国際情勢や為替相場の変動により、主要な材料が著しく減少する・資材の価格が高騰するなどすることがあります。これによって、工期・請負代金の額に影響することがあり、その場合には価格転嫁のための協議が必要です。
これを円滑化するために、通知義務が設けられました。
併せて、主要な材料が著しく減少する・資材の価格が高騰する事象が発生した場合、注文者に対して工期・工事内容・請負代金の額の変更についての協議を申し出ることができるものとし、注文者にも誠実に協議に応ずる努力義務も規定されています(改正建設業法第20条の2第3項・第4項)。
これも、上述の3本の柱のうち2,資材高騰による労務費へのしわ寄せ防止の具体的措置となります。

建設業者の処遇確保義務

3本の柱のうち1.建設業者の処遇確保義務について次のような規定が置かれています。
改正建設業法第25条の27第2項では、労働者が有する知識、技能その他の能力についての公正な評価に基づく適正な賃金の支払その他の労働者の適切な処遇を確保するための措置を効果的に実施するよう努めなければならない旨が規定されています(努力義務)。

また注文者は、従来より材料費や労務費等の見積書の提出が必要とされていますが(建設業法第20条第項)、著しく低い材料費・労務費での見積り提出・見積変更依頼を禁止しました(改正建設業法第20条第2項)。労務費が著しく低いかどうかを判断するために、中央建設業審査会が労務費の基準を作成・勧告することとなっており、令和7年2月26日に中央建設業審議会で労務費の基準に関するワーキンググループ(第4回)が開催されています。
参考:改正建設業法に基づく労務費の基準について議論~中央建設業審議会 労務費の基準に関するワーキンググループ(第4回)の開催~|国土交通省

さらに、建設業法第19条の3では不当に低い請負代金が禁止されています。
著しく低い材料費・労務費での見積り提出・見積変更依頼不当に低い請負代金が禁止に違反した場合については建設業法第20条第7項で、不当に低い請負代金の禁止に違反した場合については建設業法第19条の6で、それぞれ国土交通大臣または都道府県による勧告・公表の対象となるので注意が必要です。

情報通信技術の活用に関する努力義務規定の創設

情報通信技術の活用についての努力義務が創設されました。
改正建設業法第25条の28第1項は、一定規模以上の建設工事を下請けに出す特定建設業者は、建設工事の適正な施工を確保するために必要な情報通信技術の活用に関し、必要な措置を講ずるよう努めなければならないことを規定しました。
また、同2項で、元請事業者は、下請負人が情報通信技術の活用に関する措置を講じることができるように、下請負人の指導に努めることも規定されています(同条2項)。
上述の3本の柱のうち、3.働き方改革と生産性の向上の、とくに生産性の向上の具体策の一つです。

主任技術者・監理技術者等の専任義務に係る合理化・営業所技術者等の職務の特例

主任技術者・監理技術者等の専任義務について、営業所技術者等の職務の特例が規定されました。
公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事では、工事現場ごとに、専任の主任技術者・監理技術者を置かなければなりません(建設業法第26条第3項)。
専任者の主任技術者・監理技術者を置くことは、建設会社にとって負担がかかります。
そこで、ICTの活用などの要件のもとに専任者の設置義務を緩和し、営業所技術者が兼務できるなどの規定を置きました(建設業法第26条の5)。
こちらも、上述の3本の柱のうち、3.働き方改革と生産性の向上の、とくに生産性の向上の具体策の一つです。

公共工事における施工体制台帳の提出義務の合理化


公共工事の受注者には、施工体制台帳を作成し、原則としてその写しを発注者に提出する義務があります(改正公共工事適正化促進法15条1項・2項、改正建設業法24条の8)。
今回の建設業法の改正と同時に改正された改正公共工事適正化促進法15条2項は、「公共工事に関する工事現場の施工体制を発注者が情報通信技術を利用する方法により確認することができる措置として国土交通省令で定めるものを講じている場合」を除くとしており、合理化する規定が置かれています。
同じく、上述の3本の柱のうち、3.働き方改革と生産性の向上の、とくに生産性の向上の具体策の一つです。

建設工事の請負契約書の記載内容に関する改正ポイントについて

建設工事の請負契約書の記載内容に関する改正のポイントについておさらいしましょう。
改正によって、請負契約の法定記載事項に「請負代金を変更する際の金額の算定方法を定めること価格等の変動又は変更に基づく工事内容の変更又は請負代金の額の変更及びその額の算定方法」が追記されました。
請負工事に必要となるものについて価格の変更があった場合には、別のものを購入するなどして工事の内容を変更する場合があるのか、請負代金を変更する場合にはどのように計算するのか、ということを追記する必要があり、これらを契約書の中で明確にできている必要があります。

建設業法改正を踏まえた契約書作成でお困りなら早期にご相談ください

本記事では、2024年の建設業法の改正について解説しました。
就労条件などを背景に就業者の減少・急激な資材価格の高騰を受けて現場技能者の賃金の原資となる労務費等がしわ寄せという社会背景に伴い、1. 処遇改善・2. 資材高騰による労務費へのしわ寄せ防止・3. 働き方改革と生産性の向上という観点から改正が行われています。
契約書作成はすでに施行されていることもあり、対応していない場合にはリスクを伴います。建設業法改正を踏まえた契約書作成でお困りなら早期にご相談ください。